あの頃のように
「うれしいよ、その言葉を沙稀の口から聞けて。

でもさ――

てことは、君はあのとき、自分の気持ちより政府の問題を暴く方を取ったってこと?」

「……うん」


潤也さんは、はぁ、とひとつため息をつく。


「……まったく君には驚くね。

親父じゃなくて、沙稀こそ国会議員に向いてるな」

「……そんな、あたしなんて無理よ。

何にも知らないもん」


(沙稀ちゃんのような子が国会議員になるべきだね)

2年前、同じことを山下さんに言われたっけ。

懐かしく思い出す。


「これからも俺は、びくびくしながら生きることになるかもしれないな。

< 165 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop