あの頃のように
大きな黒い瞳が夢見るようにキラキラ光る。


「そういう人だから、あたしが自転車倒して困ってたときに、すぐ助けてくれたんだね。

ほら、大抵みんな見て見ぬふりでしょ、ああいうの。

あのときはホント、うれしかった」

「……」


まっすぐにじっと見つめられて、俺はどぎまぎした。


「そんなに大げさなことかな。

……ユカちゃんはお母さんにプレゼントしないの?」

「……」


途端に笑顔がしゅん……と溶けて。

ユカは困ったように口をつぐんだ。


(あれ、まずいこと言っちゃったかな)


うろたえる俺を悲しげに見上げて、言いにくそうに口を開く。

< 23 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop