あの頃のように
何となく拍子抜けするなか。

ちょうど目の前に運ばれたケーキを、ユカはとてもうれしそうに食べていたっけ。

その輝くような笑顔を前にしたら、そんな小さな疑問どころか、大きな疑問さえもちりぢりに吹き飛んでいただろう。


……今になって思えば、“彼女はもう知っていた”。

……単にそういうことだったんだ。



コーヒーを口にしながら、何気ない調子で聞かれた。


「前島さんは——」

「潤也でいいよ」

「あ、じゃ、潤也さん。潤也さんはお仕事してるの?」

「ううん、俺は大学4回生」

「あ、そうだったんだ。じゃあ、あたしの2コ上だ。

あ、じゃ、もしかして就職活動中とかだったりする?」

「ああ、春にはもう内定もらったよ」

「へぇ、すごい」


褒められていい気になって、さらに点数を稼ごうとした。

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