あの頃のように
「でもさ、お金でお金を生むような、そんなギョーカイなんだよね?

そういうのって、虚構だよねぇ。

だってさ、本来お金なんてただの紙切れで、本当に価値があるのは“モノ”だもん。

モノとかサービスとかさ。

お金だけ持ってても、何の役にも立たないしね。

だから、モノやサービスを生み出してる人が一番立派だと思うな。

お金でお金を生んで遊んでるような人たちが、いくら大金を生み出していても、あたしは偉いとは思えない」

「……」


カラフルな格好をした女の子がそんなことをペラペラしゃべる、そのギャップに虚を突かれてた。

しかも、ファッションのことでもしゃべっているようなカジュアルな口ぶりで。


(なんだ、見た目よりずいぶんしっかりした子なのかもしれないな)


格好から、世俗的なマテリアル・ガールだと勝手に思ってた。


「あ、ばかなシロート考えだから、軽く流してね」


ユカは笑って手をひらひらと振った。

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