あの頃のように
「いや、ユカちゃんの言ってることは正論だと思うよ。

孤島でひとりで住んでいてお金タンマリ持ってても何の意味もないもんな。

そういうことでしょ?」

「そうそう! そういうこと。

うれしい、こういうこと言うといつも変人扱いされるのに。

わかってくれたの、潤也さんが初めて」


ユカはうれしそうに微笑んで、顔の前で手をパチンと合わせた。

女の子らしいしぐさ。


(潤也さん)


彼女の俺を呼ぶ声に、胸のどこかがピクリと動いた。


「正論ではあるけど、今の世の中でお金は血液みたいなものだからね。

否定すべきものじゃないよ」


経済の話を振られて、ついつい偉そうなことを口走る。

俺は法学部だけど、父さんに言われて経済の勉強も少しながら始めてた。

父さんは多分俺に地盤を継がせるつもりなんだ。

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