あの頃のように
わざとらしく丁寧に挨拶をする。


「お久しぶり、ユカ。

いや、“沙稀”さん」

「……」


呼ばれた名前に、ぎょっとするように目を見開いた。

逃げ場を探すかのように、視線が左右をさまよう。


「2年ぶりだな。元気してた?」

「……」


遠くから見るのとは違って。

近くで見ると、やっぱり2年の月日は彼女にも流れていた。


(ちょっとやせたのかもしれないな)


昔はもっと頬がふっくらしていた気がする。


あの頃はもっと派手めの化粧をしていた。

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