あの頃のように
あのとき最後まで行かなかったのも、単に俺のさじ加減ひとつだったんだ。


そんな賭けができる子が初めてだったなんて、あり得るわけ……


「……」


考えるより早く、その腕をとって、強引に振り向かせていた。


「きゃ……」


よろめく体を抱きしめて。

頬を両手ではさんで、唇を合わせてた。


徐々に沙稀の体の力が抜けて、体重が預けられるのを感じながら。



 * * *



「きゃっ……」

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