あの頃のように
簡単に涙を流せる子なんだ。
惑わされるな。
気を取り直して、華奢な後ろ姿にすばやく声をかける。
「今はA***社にいるんだ」
「……」
はっとするように、沙稀は立ち止まった。
首の上だけが、少しだけ振り返る。
「もう聞いてるよね?
君の会社は、このたび、うちの会社と経営統合することになった。
君の会社がうちの子会社になる」
「……」
「ちゃんとしたシステム作ってる会社だよね。
そんなところにもぐりこんで、また何かたくらんでるの?」
「………」
小さなため息が聞こえた。
返事はない。
惑わされるな。
気を取り直して、華奢な後ろ姿にすばやく声をかける。
「今はA***社にいるんだ」
「……」
はっとするように、沙稀は立ち止まった。
首の上だけが、少しだけ振り返る。
「もう聞いてるよね?
君の会社は、このたび、うちの会社と経営統合することになった。
君の会社がうちの子会社になる」
「……」
「ちゃんとしたシステム作ってる会社だよね。
そんなところにもぐりこんで、また何かたくらんでるの?」
「………」
小さなため息が聞こえた。
返事はない。