【BL】幼なじみと恋をしよう!?
近藤が観たいと言っていた映画はミステリーものだった。
ラブストーリーでも見るかと訊いてきた近藤に、恭一は全力で遠慮した。
デートでラブストーリーなんていかにもだし、空気が気まずくなりそうだったからだ。
劇場が暗くなってから、恭一は近藤にだけ聞こえる音量で呟いた。
「近藤、手」
「…え?」
「今暗いから、ここでなら手、繋げる。」
「………」
「デートなんだし、手ぐらい繋ぎたいだろ?」
暗い場内でも近藤が極上の笑顔を見せているのが分かった。
恭一は差し出された手を握った。
指を絡めてくる近藤にドキドキしながら観た映画は、全く頭に入ってこなかった。
それでも近藤が嬉しそうな顔をしているのを見て、恭一は満足だった。
「それで、次は?」
「あ、えっと……レストラン予約してるから、ご飯にしようよ。」
「予約?随分張り切ってるんだな。」
笑う近藤の隣で、恭一の緊張はピークだった。
何故なら、ここからがメインイベントだからだ。