【BL】幼なじみと恋をしよう!?
演劇部部長の許可を得て、恭一は練習を見学することに成功した。
今日は演劇のラストシーンをやるらしい。
「そういや近藤は何やるんだ?」
「俺?まぁ……見てれば分かる。」
あまり答えたくないようで、近藤は歯切れ悪く言った。
そして舞台袖に呼ばれた近藤は、そちら側に姿を消していった。
しばらくして幕が上がる。
――ラストって言ったら一番盛り上がるところだよな……。おいしいとこ取りだな。
ステージには近藤と一人の女性。
『何故ですか?姫……私はこんなにも』
劇は近藤の台詞から始まった。
役に入り込んでいる近藤を見て、本格的だなと恭一は感心した。
『こんなにもアナタを………愛しているのに。』
『わたくしも同じです。……ですが』
苦しげな表情を浮かべて見つめ合う二人。
どうやら二人は許されない恋仲の設定のようだ。
『神様は許してはくれないでしょう。』
『構いません。神の許しなどいらない。私が欲しいのは姫、アナタだけだ。』
近藤の熱い視線が女性を射抜く。
その視線を見て、恭一の胸がドクッと跳ねた。
――別に俺が言われた訳じゃねーのに……。なんかドキッとした……。
いつの間にか夢中になって見ていた恭一は、部長の言葉で現実に戻った。
「彼はスゴいね。」
恭一の隣に立っていた部長は、晴れ晴れとした表情で近藤を見つめていた。