【BL】幼なじみと恋をしよう!?
恭一は近藤の肩を掴み、強引に振り向かせる。
「待てってば。勝手に決めつけんなよ。そうやって俺から離れていくつもりかよ?」
「手っ取り早いだろ?お前を俺の押しつけで困らせたくはないんだ。」
近藤の中では自己完結しようとしてしまっているらしい。
「俺は近藤のこと気持ち悪いだとか、嫌いだとか思ってない!」
むしろ近藤のことは好きだ。
好きでなければ十数年一緒になんていられるわけがない。
ただ恋愛感情としてと言われると、その答えは分からない。
「そうか。」
近藤の寂しそうな笑み。
そんな顔をさせたいわけじゃないと、言葉を必死に探す。
「どっちかと言うと近藤のことは好きだ!ただ恋愛ってなるとその……今まで考えてなかったっていうか、」
「うん。」
どうすればその表情を消せるのか。
卑屈に笑うその顔をなくせるのか。
「だから!えっと、俺にキスしてみてくれ!!」
「え………?」
恭一の発言に近藤は面食らったようだった。
目を丸くさせ、信じられないという顔で恭一を見た。
「好きだけど恋愛感情なのかは分かんない。だから俺にキスしてみてくれよ。気持ち悪くなかったら、つまり、その……そう言うことだろ?」
「いや、でも……気持ち悪かったらどうするんだ?」
「その時考える」
そうだ。自分は考えるより行動するタイプ。
この方法が一番手っ取り早い。
「頼むよ、近藤。」
近藤はしばらく困惑した表情を見せていたが、やがて肩を落とし溜め息をついた。
「お前って奴は……」
近藤は周囲に人が居ないことを確認してから、恭一の頬に右手を添えた。
辺りはすでに薄暗い。
遠くから見たら、身長差的にも男女のカップルがイチャついているようにしか見えないだろう。
けれど恭一の目の前にいるのは間違いなく男だ。
「後悔するなよ。」
そう告げた近藤の眼差しが、恭一を射抜く。
急に心拍数が上がった気がした。
唇が触れる直前、ギュッと瞼を閉じる。
ゆっくりと重なる唇。
温かい柔らかな感触に、強ばっていた体が解れていく。
数秒触れた唇は、名残惜しそうに離れていった。