狐さんに取り憑かれました【短編】
「理由はない」
理由がないのであれば、聞く必要はないでしょうに……。
そう感じながらも、彼の顔を見て答えた。
『……及川蓮華(オイカワ レンゲ)です』
「親は?」
質問攻め。
普段は嫌いなので、無視をするのですが…今日は何故かいちいち答えている自分が居た。
『別居中です。というより、強制一人暮らし中です』
そう言うと、狐さんは少し無言になってから
「やっぱり。お前に取り憑くことにした」
迷いもなく彼は、言い切った。