狐さんに取り憑かれました【短編】





その晩のこと




二時零分。布団の中でぐっすりだった私は、パッチリと目が覚めました。




体が動かないし、声もあげることができません。




一種の金縛りのようです。




金縛りは科学的に証明されています。脅えることはありません。




そう言い聞かせても、体がガタガタと震え始めました。




どうしたら良いのでしょうか。




目を閉じようにも恐怖で閉じることができません。




誰かが近づいてくる。狐さんとは違う気配。




怖い、怖い怖い怖い




《オマエ、シアワセ……ニクイ》




その言葉と共に、眼前に現れたのは血だらけの女の人の顔でした。




恐怖で凍りつく。




< 18 / 23 >

この作品をシェア

pagetop