狐さんに取り憑かれました【短編】
その晩のこと
二時零分。布団の中でぐっすりだった私は、パッチリと目が覚めました。
体が動かないし、声もあげることができません。
一種の金縛りのようです。
金縛りは科学的に証明されています。脅えることはありません。
そう言い聞かせても、体がガタガタと震え始めました。
どうしたら良いのでしょうか。
目を閉じようにも恐怖で閉じることができません。
誰かが近づいてくる。狐さんとは違う気配。
怖い、怖い怖い怖い
《オマエ、シアワセ……ニクイ》
その言葉と共に、眼前に現れたのは血だらけの女の人の顔でした。
恐怖で凍りつく。