狐さんに取り憑かれました【短編】
『はぁ……こんな目がなければ。私の人生は少しマシになっていたのでしょうか?』
目を押さえながら、ため息をこぼしていると背後から声をかけられた。
「人の子よ。俺に取り憑かれろ」
随分なご挨拶である。
『丁重にお断りします』
振り向くと、銀色の髪の毛をして獣耳を生やした美青年が立っていた。
結果的に断ることに変わりはないけれど。
「本人の了承など要らん。俺の仮宿となれ」
では何故、聞いてきたのであろうか……。