主役にキスを
鏡で自分を見ていると、急にノックの音が聞こえる。


返事をするより早く、ドアが開く。


「ちぃーす」


いつもみたいに、たらしなくネクタイを緩めて、だらしのない返事で入ってくる。

でも、いつもよりちょっとだけいい格好をして立っていた。



「おぉ、別人」

「うっさい」


散々褒められていい気分な為、彼の嫌味も気にならない。



鏡ごしに彼を見て。

「あんたも格好いいじゃん」

「うっせぇ」


照れたように、いつもより固められ、きちんとした頭をボリボリとかいている。




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