真夏の夜
「行こう」
美香は私の腕を引っ張り言った
「うん・・・でも、本当にいいの?」
「いいの、これでいいの」
「・・・分かった」
なんか複雑でたまらなかった
美香は忘れるって決めたことが
どうしても・・・
「美香っ送るよ」
山田君は笑顔でそう美香に言った
私は隣りにいる美香をつい見る
「家、遠いから」
作り笑顔で美香はそう答えた
そんな顔・・・見たらこっちが悲しくなる
「いいよ、送るよ」
「本当にいいのに」
「いいから」
山田君は美香の手を引いた
「じゃ、俺、美香送って来るな、城田、またな」
「ああ」
美香の顔、少し嬉しそう・・・
こういう所が好きなのかな・・・
「何、白木ニヤニヤしてんの?」
城田君はおつまみを食べながら言った
「は?してないよっ」
「でも、下の名前で呼ぶなんて、いつの間に仲良くなったんだか」
「うん、少しビックリしたよね」
「ああ、それに手を繋いで送ってるし」
「うん、恋人みたい」
私もおつまみに手を伸ばした
あれ・・・届かない
テーブルが大きくてなかなか届かなかった
その時・・・
「ん、これ?」
城田君は私の手のひらにおつまみを置いてくれた
「あっありがと」
ドキッ・・・
そのおつまみの味がとても美味しく感じて
城田君がくれただけで・・・