真夏の夜
エンジンを掛ける音が車に響いて・・・
城田君と今・・・二人きりなんだって思う
でも・・・この助手席に前の奥さんを乗せたのかと思うと嫌でたまらない自分がいて
「余計な事考えてるだろ」
「え・・・そんな・・・」
「本当の事言うと、前の妻より優子が好きだから」
「ありがと・・・嘘でも嬉しい」
「嘘じゃなくて・・・俺、ずっと25まで優子の事忘れられなくて」
「本当に?」
城田君・・・優しいから・・・
「ああ、マジで、その時、前の妻が忘れさせてあげるって言って来て」
「・・・」
「でも、やっぱダメだな、同窓会の知らせが来た途端・・離婚するなんてな」
「え、それって・・・」
「ああ、白木に会えるって思ったら、嬉しくてこの機会を逃したくないと思った、それで結婚してないなんて聞いたら・・・・」
「城田君・・・・」
「一気に妻の思いが消えた、俺、最悪だよな、まだ子供がいなかったから良かったけど」
「そんな最悪なんかじゃないよ、私、すっごく嬉しい」
「白木がそう言うと、なんか救われる」
「もうっ大げさ」
「それで気付いたんだ、俺、まだ白木が好きなんだ、全然忘れてなんかいなかった」
「城田君・・・・ねえ2人の時は下の名前で呼んでもいいよ?」