真夏の夜
城田君はポケットに手を入れ寂しげな表情をした
思い出してるのかな
前の奥さん
私の知らない城田君がいる
踏み込めない
やっぱり昔より距離が出来る
「城田君ってどこに勤めてるの?」
私は話題を変えた
「ああ、俺、医者になったんだ」
「医者?すごいね」
「本当はサッカーしたかったんだけど」
「何でしなかったの?城田君だったら夢じゃないのに」
「無理だったんだ、俺の家族が皆、医者でさ、だから」
「そっか、でも医者になれるなんてすごいよ」
「お前は?」
「私は雑誌の編集長」
「へえすごいじゃん」
「そんな事ないって」
「良かったな、夢が叶って」
「え・・・?」