ソウル◆チューン
 いつの間にか暗闇の中に加代とクーはいた。

「ここは何処なのでしょう?…貴方はどなたですか?」

クーが警戒するように唸り、そこにいた少年に飛びかかった。が、体をすり抜けて地面に着地する。

「大丈夫?『がうっ。』え?この方とお知り合いですの?」
「オイラ坂田金時っていうんだ!」
「まぁ、苗字が私とご一緒ですのね。私は坂田加代と申します。『がうっ!』山で遊んだ友達?『がう。』久しぶりに相撲をしようとしたら、体を通り抜けてしまって出来ない?」
「もしかして熊五郎なのか!?『がうぅ。』そうか!お前も現世に転生していたとは嬉しいぞ!」

クーは飛び付けない代わりに金時の周りをグルグル回って喜んでいる。

「『がう?』自分も嬉しいが、どうして相撲が出来ないんだ?と申しておりますわ。」
「…残念だけどオイラじゃ相手出来ないんだ。そこで君に頼みがあるんだけど…」

本当に残念そうにしている二人(?)が気の毒で

「なんでしょうか?とてもお困りのご様子。私が力になれるのでしたら、お手伝いさせて頂きますわ。」

何を頼まれるか分からなくても協力は惜しむまいと決意していた。

「ありがとう!君は優しいんだな。頼みというのは、オイラの代わりに熊五郎の相撲の相手をしてほしいんだ。」
「私、お相撲のたしなみはございませんが…『がうっ。』構わないから手合わせしよう?でもクー、体の大きさが違いすぎて危ないですわ。」

クーは立ち上がっても加代の膝上位の高さしかない。

「それは大丈夫!熊五郎の体を一時的に本来の姿に戻すからさ。」
「えっ?」
『ガォォッ!!』

金時が手を叩くと、クーの咆哮共に体が大きくなっていって、加代の身長を少し上回る位の高さで止まった。

「まぁ。クー!大きくなって…それなら大丈夫ですわね。お相手しますわ。」

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