ソウル◆チューン
光で囲まれた土俵に上がると、見よう見まねで構えをとった。
「見合って!…はっけよい…のこった!」
金時の行司で組み合う。どちらも退かず押合いが続く。
「はあぁぁっ…えいっ!」
加代が深く息を吐いて力を込めてクーを投げた。
「勝負あり!お見事!流石、オイラの転生だ!これからも優しい心を忘れずに、人々の役に立つように頑張ってくれよな!」
満面の笑顔で拍手を送られ、照れていた加代だが、元来の優しい性格が人の役に立つ事を厭わせなかった。
「わかりました。力を尽くしますわ。ところで、私はどこにいるのでしょうか?」
最後の最後にそれを聞くか?と思う位にはおっとりしているが…
「おっ、どうやら迎えがきたみたいだね。詳しくは頼光殿と綱殿に聞くと良いよ!それじゃ、熊五郎もまたな!」
「『がうっ。』お世話になりました。ごきげんよう…」
光と雅楽の音に包まれて加代とクーは戻って行った―