ソウル◆チューン
様付けで呼ばれた事などないので違和感があるというか、くすぐったいのだ。

「そんな私のような若輩者がとんでもありません。奈都様、これからもクー共々宜しくお願い致します。『がう。』」

育ちの違いか、加代も本気だ。頼子は早々に慣れるしかないのだと考える事にした。

「加代ちゃん、一つ聞いても良いかしら?」
「なんでしょう?なんなりとどうぞ。」
「お話中に申し訳ございません。お嬢様方、間もなく始業のお時間でございます。お話はまた後日にでも。…お嬢様、その時はお二人が宜しければ、お邸にお招きしては如何でしょう?」
「それは良い案ですわね!私、お友達を家にお呼びするなんて初めてですわ!…ライコ様、奈都様、如何でしょう?」

嬉しそうに瞳を輝かせているが、伺う言葉に恐れている気持ちも見える。

「私は良いぞ。奈都も聞きたい事があるんだろ?」
「ええ。でもお邪魔して良いのかしら?」
「招かれたなら構わんだろう?」
「勿論ですわ!お友達をご招待出来るなんて私も嬉しいですから!『がう。』クーも是非と申しております。」
「お嬢様、お急ぎ下さいませ。お二方も宜しければお送り致しますが。」

ドアを開けて待機していた等々力が時間を見て、遠慮がちに進言した。

「折角のご厚意だが、走れば間に合う。これも鍛練の一つですから。」
「出すぎた真似を致しました。それではまた日が整いましたらご連絡致します。失礼致します。」
「楽しみにしております。ライコ様、奈都様、ごきげんよう。」

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