ソウル◆チューン
 暗闇の中、二人の少女が横たわって眠っていた。
遠くからいくつもの鈴の音とともに、複数の男の声が響いてくる。

「「「……よ…目……めよ…目覚めよ…」」」

その声がはっきり聞こえると、少女達は起き上がり辺りを見回した。

「誰?誰なんだ?」
「待って、頼子。これ…夢…よね?」
「そう…だよな…何で奈都がいるんだ?」
「頼子こそ!」
「やれやれ。我等の事などお忘れみたいですね。」

言い合いを始めそうな二人の側に入るように、穏やかな声がした。

「いつ声をかけてくるのかと思っていたわ。」

奈都が冷静に、いつの間にか側にいた三人に視線を向ける。

「ハッハッハッ!!これはまた、我等が試されようとは!!」

おおらかに笑いながら一人が言うと

「ふむ。まだ己が何者であるか認識していないようだな。」

厳格な顔で一人が言った。

「何者って、あんた達こそ何者だ!」
「頼子、落ち着いて。これは夢でしょ?」
「それにしても、何で自分の夢で知らないおっさん達に絡まれてるんだ?」
「何て口の悪い小童だ!」
「まぁまぁ住吉の。ここは確かにお嬢さん達の夢の中ですが、ただの夢とは違うのです。」
「君達はある使命をもって現世に転生したのだ。いよいよ出番がやって来た。という訳で我等が来たのだよ。」
「ところでお嬢さん達は、自分に前世、というものがあると思いますか?」

その言葉を聞いた途端、頼子の視線は胡散臭いものを見るように、穏やかな老人に向けられた。

「頼子。どうやら本題らしいわよ?」
「はぁ?あれだろ?背後霊とか守護霊とか、アナタは神を信じますか?とかいう胡散臭いものか?」
「なにっ!?胡散臭いだと!?」
「まぁ住吉の。今の子らは神すら信じているか分からんからなぁ。」
「熊野の。どうやらはっきり言った方が良いようです。我等はお嬢さん達の前世に関わった神です。それで、前世の因縁が復活しそうなので、現世の当人に引き受けて貰おう。という訳です。」
「断ればどうなる?」
「訳も分からず命の危険に晒される。」

まるでクイズの答えを言うように言われ

「因果応報だな。」

当然と言わんばかりの顔をされた。

「否応なしじゃないか!」
「それは困るわ。周りにも被害が及ぶんでしょう?」
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