ソウル◆チューン
すっかり母娘は頼子に心酔している。元々、学校でも女生徒のファンクラブがある程の人気があるのだが、逆に男子生徒には怖れられている。

「それで、本日お招き頂いたお返しと言ってはおそれ多いのですが、明日は加代ちゃんを私の家にお招きしたいので、ご両親の許可を頂きたいのですが…」
「まぁ!素敵な事ですわ!ふつつかな娘ですが宜しくお願い致します。」
「お母様、別に加代はお嫁に行く訳ではないのですから…」

賢司が苦笑いしながら言うと

「あら、そうね。おかしな事を言ってしまいましたわ。」

美代は呑気に笑った。

「加代がお嫁に行くのはもっとずっと先だ!いや、しかし水原さんの所なら…」
「お父様落ち着いてください!残念ですが相手も女性です!」
「落ち着くのは雄一郎お兄様もですわ!…ライコ様、奈都様、色々お話したかったのですが、家族が騒がしくして申し訳ありません。明日は必ず伺わせて頂きますわ。」

加代もこのままでは話が出来ないと思ったのだろう。幸い明日は土曜日で学校は休みである。

「何時でも好きな時間に来ると良い。話も沢山あるしな。…思いの外、楽しくて長居してしまいました。家の事もありますので、今日はこれでおいとまさせて頂きます。」
「夕食でもご一緒にと思っておりましたのに残念ですわ。」
「申し訳ありません。家に料理の出来ない父が待っておりますので…」
「まぁ…等々力!それでは早くお送りして差し上げなさい。」
「かしこまりました奥様。」
「それじゃまた明日ね。加代ちゃん。お邪魔しました。」

坂田家全員に見送られて車に乗ると、滑らかに発車する。

「等々力さん。明日は加代ちゃんとご一緒にいらっしゃるんでしょう?」
「えぇ。勿論でございます。私はお嬢様の執事でございますから。」

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