ソウル◆チューン
「私達の事、随分とお調べになったんでしょう?」

奈都が微笑を浮かべてバックミラー越しに等々力を見ると、それを分かっているように

「お嬢様に相応しいご友人である事を確認させて頂きました。それも私の務めでございますので。」

一瞬だけ目を合わせて目礼した。

「調べられて困る事もあるまい。構わないさ。」
「寛大なお許しありがとうございます。…お嬢様は今まで一度として、ご友人をお作りになろうとなさいませんでした。理由は私共にも話してくださいません。それが出会ったその日に友人だとおっしゃいました。」

車の中でも姿勢を崩さない二人を交互に見ながら探るような視線を送ってきた。

「知りたいですか?」
「えぇ、是非。明日は理由を私にも教えて頂けますか?」
「利用されても構わないなら話しても良いですよ。」

頼子が挑発的な笑みを浮かべて言うと

「お嬢様の為とあらば、坂田財閥の総力をあげて協力は惜しみません。」

等々力も負けずに受けてたつ。その言葉に嘘は無いだろう。坂田家の大切な娘の為なら、家族全員が手伝いたいと言い出すのは目に見えている。

「では話した後は加代の意思を尊重してください。決して悪いようにはしません。」

奈都には頼子の考えがわからなかった。

「どうするの?」
「…不本意だが親父に任せる。」

もう話は終わったというように黙り込んだ頼子に、奈都は口を閉じた。

「到着致しました。また明日、お伺い致します。失礼致します。」

走り去る車を見送りながら、奈都は一抹の不安を覚えていた―


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