ソウル◆チューン
「いやいや、奈っちゃんの料理の腕前は素晴らしいよ?頼子も私も料理はからっきしなので任せっきりで…」
「親父は奈都に甘えすぎだ。」

娘に手痛い一言をくらった。

「奈っちゃ~ん!頼子がまた親父って言った~。パパ…せめてお父さんって呼んでって言ってるのに~」
「こら。奈都に泣きつくな親父。それに今さら直らん。諦めろ。」
「8歳まではお父さんって言ってたぞ!たった5年で何が今さらなんだ!奈っちゃんも師匠は良くないよ?せめて頼良さんと…」
「図々しいにも程がある!なぁ?奈都。」
「頼良さん…は恥ずかしいなぁ…」

本当に恥ずかしいだけで、満更でもなさそうである。

「ところで熊五郎くん。君に見せたい物があるんだ。ちょっと私に付き合ってくれるかい?」

加代の腕の中にいたクーが、加代を見る。

「構いませんわ。私はここでお茶を頂いてますから。行ってらっしゃい。『がうっ!』」

許可の言葉に嬉しそうに頼良の側に行く。

「じゃぁしばらく熊五郎くんを預からせてもらうよ。」

立ち去るのを見送ると

「珍しいですわ。クーが初対面の方にあんなになつくなんてなんて…」

加代は驚いたように言った。

「親父は野生に近いから気が合うんじゃないか?おそらく見せたいのも裏山の事だろう。」
「頼子…師匠はとても感性の鋭い方だから色々な声が聞けるのよ。きっと。」
「奈都は親父に甘いからなぁ…」
「そっ!そんな事ないわよ?」
僅かに顔を赤らめて動揺している。

「ま、良いさ。そろそろ本題に入ろう。奈都も座れよ。」

頼子と奈都は、夢に三神が現れ前世の因縁を語り使命を与えた事。
それは転生した者は試練を経て認められ、これから起こる戦いで自分達の力で皆を守る事なのだと話した。

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