ソウル◆チューン
「…しかし、お嬢様にそんなお力があるとは考えられません。」

等々力が話を聞いて断固とした口調で訴える。

「加代は坂田金時の転生だ。素質は十分ある。それを過保護にして抑えつけているのは貴殿方ではないですか?」
「私、皆様のお役にたてるのでしたらやりたいですわ。」
「しかしお嬢様!危のうございます。万が一の事がありましたら、坂田の者がどれ程悲しみましょうか!?」
「等々力さん。昨夜お約束した筈です。加代の意思を尊重すると。」

頼子は反論出来ないように昨夜の言質を持ち出した。
それを言われてはもう言葉がでない。

「そこでだ。加代、そこの廊下を歩いてみろ。回りには触れるなよ?」

その言葉に加代は困ったような顔をした。だが、自分が仲間と認められるのに必要な事なのを感じていた。

「…それは今、でございますか?熊五郎が戻ってからでも…」
「今すぐにだ。歩くだけだぞ?何か問題あるのか?」

等々力のフォローにも耳を貸さず、加代を見つめる。

「私、やりますわ。」

意を決して立ち上がると、少しよろけながら廊下に出た。
ゴール地点に頼子が立つ。

「ここまで来い。」

距離は15㍍もない。だが歩きだした加代は5㍍も歩くと転んだ。

「もう良いぞ。わかった。」

加代を抱き起こし、軽く支えて席に座らせる。

「普段はクーを抱いてバランスをとっているんだな?」
「はい…クーと出会うまでは、よく転ぶので杖を使っておりましたの…やはりライコ様は見抜いておいででしたのね。」
「直せるぞ?」
「えっ!?」
「クーを抱かずとも普通に歩けるように出来る。」

あっさり言う頼子に、加代と等々力は驚愕した。

「ほ…本当でございますか?是非とも策をお教え願えますか!?」

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