ソウル◆チューン
「うむ。綱は理解が早い。」
「熊野の。そう呼ぶのはまだ早い。」
「岩清水の。勿体つけずに教えてやれば良いではないか。」
そこで急に、奈都が考え込みながら
「住吉…熊野…岩清水…」
と繰り返し始めた。
「ん?どうした奈都?」
頼子が顔を覗き込むと、何かに思い当たったように穏やかな老人を見て
「…そのお名前は…じゃぁ貴方がたは…!」
驚いた声を出して絶句した。
「おや、気付かれたようですね。それはともかく、頼子さんは引き受けられますかな?」
「…話し次第だ。」
未だ警戒を解かない頼子に微笑みかけながら語り始める。
「宜しいでしょう。先程、前世の話をしましたね?お嬢さん達の前世が転生して、現在のお嬢さん達が誕生したのです。」
「その前世とは平安時代の武士であった。」
「先ず水原頼子。おぬしは源頼光であった。そして渡辺奈都。おぬしは渡辺綱であった。」
「共に酒呑童子や土蜘蛛退治の伝説のある武将ですね。」
奈都の言葉に頷きながら
「まさにその酒呑童子の話に我等が関わっていたのです。」
「その酒呑童子が現世に甦った。」
「まぁ、正確に言えば、その時に取り逃した茨木童子が酒呑童子の子を現世で産んだのだ。完全に甦ったのではなく、本性も目覚めておらんがな。」
それまで黙って話を聞いていた頼子の目が輝き始める。
「…その頼光は確か、天下五剣の一つの所有者だったな?」
「童子切安綱だな。膝丸と言うなかなかの名刀の持ち主でもあったぞ?」
「童子切に蜘蛛切か!」
「頼子、随分嬉しそうね?あんなに渋ってたのに。」
「渡辺綱は髭切の持ち主です。そこで、これをお渡しします。」
古びた紙の五枚の御札を頼子に手渡すと、奈都が興味津々で一枚を手にした。
「この御札は?」
「それは前世の証明書だ。それに認められなければ力は得られんなぁ。」
「認められるには、どうするんだ?」
「自分の御札が導いてくれる。見事、試練に打ち勝つのだ。」
急に三人の神の姿は朧になり、鈴の音に重なるように雅楽が響くと光に包まれて二人は別々の時空に飛ばされ、そこで頼子の意識が途切れた―
「熊野の。そう呼ぶのはまだ早い。」
「岩清水の。勿体つけずに教えてやれば良いではないか。」
そこで急に、奈都が考え込みながら
「住吉…熊野…岩清水…」
と繰り返し始めた。
「ん?どうした奈都?」
頼子が顔を覗き込むと、何かに思い当たったように穏やかな老人を見て
「…そのお名前は…じゃぁ貴方がたは…!」
驚いた声を出して絶句した。
「おや、気付かれたようですね。それはともかく、頼子さんは引き受けられますかな?」
「…話し次第だ。」
未だ警戒を解かない頼子に微笑みかけながら語り始める。
「宜しいでしょう。先程、前世の話をしましたね?お嬢さん達の前世が転生して、現在のお嬢さん達が誕生したのです。」
「その前世とは平安時代の武士であった。」
「先ず水原頼子。おぬしは源頼光であった。そして渡辺奈都。おぬしは渡辺綱であった。」
「共に酒呑童子や土蜘蛛退治の伝説のある武将ですね。」
奈都の言葉に頷きながら
「まさにその酒呑童子の話に我等が関わっていたのです。」
「その酒呑童子が現世に甦った。」
「まぁ、正確に言えば、その時に取り逃した茨木童子が酒呑童子の子を現世で産んだのだ。完全に甦ったのではなく、本性も目覚めておらんがな。」
それまで黙って話を聞いていた頼子の目が輝き始める。
「…その頼光は確か、天下五剣の一つの所有者だったな?」
「童子切安綱だな。膝丸と言うなかなかの名刀の持ち主でもあったぞ?」
「童子切に蜘蛛切か!」
「頼子、随分嬉しそうね?あんなに渋ってたのに。」
「渡辺綱は髭切の持ち主です。そこで、これをお渡しします。」
古びた紙の五枚の御札を頼子に手渡すと、奈都が興味津々で一枚を手にした。
「この御札は?」
「それは前世の証明書だ。それに認められなければ力は得られんなぁ。」
「認められるには、どうするんだ?」
「自分の御札が導いてくれる。見事、試練に打ち勝つのだ。」
急に三人の神の姿は朧になり、鈴の音に重なるように雅楽が響くと光に包まれて二人は別々の時空に飛ばされ、そこで頼子の意識が途切れた―