ソウル◆チューン
褒めてるのかよく分からない台詞である。

「まぁいい。親父は後で…な。」
「頼子、師匠はきっと私達が準備に忙しそうで言えなかったのよ。ね?」

不吉な微笑を浮かべる頼子を奈都がなんとか宥めようとしている。

「紗季様がいらっしゃるのが楽しみですわね。」
「か~わ~え~えなぁ~!加代ちゃん、そんなに可愛いのに力持ちさんなんやなぁ?」

我慢していたのか、紗季は加代を抱き締めた。

「今度是非、我が家にも遊びに来てくださいませ。」
「男前な兄ちゃんがおるやろ?でもシスコンやしなぁ…豪邸も見てみたいけど。」
「シス…コン??我が家が豪邸かどうか私には分かりませんが、ライコ様のお家はとっても素敵なんですのよ!」
「あぁ、自然に囲まれた自給自足の昔風な家やろ?ウチみたいな巫女にはええ場所やなぁ。」
「紗季ちゃんには透視出来るの?それに巫女には良い場所ってどういう意味?」

奈都が聞くと、未だ抱きついたままの紗季を加代から剥がしながら

「その体制、話辛くないのか?確かに家は毎日が修行のような生活だが。働かざる者食うべからずだぞ?」

言うと、渋々加代を解放する。

「ウチも質素な生活には慣れとるから大丈夫やで~。家事も修行になるしなぁ。それに清結界が出来とるしな。」
「清結界?」
「そや。自分等もよう協力してるなぁ?代々武道で鍛練しとる家系やし、頼良さんが頂点に近い力を持ってはるんよ。それで自然と周りに清らかな空間が出来るんやな~。」
「流石師匠だわ!」
「師としての力は認めるが、清らかな人間とは程遠いと思うが…」

頼子は複雑な顔をした。今までの普段の言動から見てもそう思えない。

「アホやなぁ。人間、中身やで?身内贔屓したくないのが本音やとは思うけどなぁ?」

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