ソウル◆チューン
「オマエ…遊びで殺しちゃ駄目だろう。」

一瞬の隙が命取りになる。
本能的に頼子は感じて間をとっていた。

「なんで殺しちゃ駄目なんだ?人間だって動物や人を殺してるじゃないか。」

少年は本当に分からないという顔をする。

「確かに人間はそういう事をしている。だが動物は食べる為であるなら必要な分だけを。殺すだけなら、無意味に先のある命を壊してるだけだ。やってはいけない事だ。」
「でも僕は殺されそうになったら殺してやる。嫌ならそうすれば良いのに。力が無い者が殺されるのは当たり前だってイバラが言ってたぞ?」

無邪気に言う少年をなんとか出来ないかと頼子は考えた。

「確かにそれが自然の摂理かもしれない。だけど、私は絶対にそんな考えだけじゃ良くないと思うぞ?もし自分の大切な人が殺されたら悲しいだろう?」
「悲しい?力が無いなら仕方ないじゃないか。」
「もし自分が側にいて、守ってやれたかもしれない命でも放っておくのか?」
「仲間なら一緒に敵と戦うぞ?」
「それは結果的に仲間を助けている事になるだろ?」
「そうか。なんとなく言いたい事が理解出来た気がする。だが貴様は人間、僕は鬼だ。考え方が同じとは思わん事だ。」

少年は一瞬、頼子から気を反らして

「…迎えが来た。さらばだ。」

風と一緒に消えた。
その少年が現在も変わらぬ姿で確かに蕀に連れられていた。


「先程は蕀のプレッシャーと母が現れた事に気をとられていたが、その時の少年だ。」
「そうか~。その時に別の所で蕀はみつきさんを囚え、秋穗さんに自己嫌悪を憑かせた訳やな~。」
「母に自己嫌悪を憑かせたって…何かとり憑いているって事?」
「そうや。ウチが東京行ったら先ずお祓いしたるな~。」
「紗季ちゃん、お願い。母を助けてあげて。

次の目標が決まったが、前途多難そうな少女達であった―

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