ソウル◆チューン
「手加減だとっ!?ふざけんなっ!」

渾身の力で蜘蛛切を弾き飛ばすと、頼光の元へ飛んでいった。

「あっ!危ない!」

目前に飛んできた蜘蛛切を、難なく掴み取ると

「そこまで!勝負あり!」

一本の声を上げた。

「はぁっ…良かった…」

ホッとして座り込んだ頼子につかつかと歩み寄ると、コツンと頭を叩く。

「何を安心している。俺だから良かったものの、普通の人間なら巻き込んでいたぞ。」

厳しい顔で叱咤する頼光に

「申し訳ない…」

立ち上がって頭を下げる。そんな頼子の頭に手を置いて

「だが試練には勝った。これから俺と童子切、蜘蛛切がお前の力になる事を約束する。」

初めて優しい口調で言った。

「力になるって…確か、童子切も蜘蛛切も現在はどこかに奉納されている筈だ。譲ってもらう訳にもいかないだろう?」
「ここにある二刀は幻だと思うか?」
「ここは私の夢の中なんだろう?幻みたいなもんじゃないのか?」
「幻と戦った手応えだったか?」
「いや。実戦と変わりない。」
「そうか。ではこれは本物だ。これは過去に俺が使っていた時間のものをここに召喚している。現世で奉納されているならそちらも本物だが、召喚している時は童子切、蜘蛛切も現世に二刀づつ在る事になる。」
「それで、どうやって召喚すれば良い?」
「過去からの召喚なので、実際の主は俺という訳だ。」
「そうだな。でも私は源頼光の転生であって、私でもある。と先程言っていたよな。」
「そうだ。だが、まだ俺の存在に馴染みが無いだろう?」
「まぁな…いきなり信じて受け入れろ。というのも無茶だろ。」
「俺がお前でもそう思うだろうな。そもそも晴明がいなきゃ妖の存在だって…」
「誰だって?」
「…いや。なんでもない。それで俺を召喚すれば刀もついてくる。」
「それなら仕方ないな…それはそうと、奈都はどうなったんだ?」
「ああ。綱の転生の事か。向こうはてこずるだろうな。」
「奈都はウチの門下だが、かなりの使い手だぞ?」
「綱も結構やるぞ?」
「それは是非手合わせしたいな。」
「まぁそれは綱を召喚している時にすれば良いだろう。」
「そうか!楽しみだな!」

呑気なのかおおらかなのか、二人はとてもよく似ている事に気付いていなかった―
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