ソウル◆チューン
「確か左京区…でしたかしら?貴船に近いので川床でも楽しまれたら如何でしょうと等々力がいっておりました。」
「へぇ。川床なんて風流ね。京都なら紗季ちゃんもご実家に顔が出せるし…?あら?頼子も頼良さんもどうかしたの?」

奈都が二人の顔を見て首を傾げる。よく見れば紗季も微妙な顔をしていた。

「う~んとな…奈っちゃん。京都の地理には疎いと思うんやけど、左京区には貴船もあるけど鞍馬もあるんよ~。鞍馬にはごっつい国有林があんねんけど、実はその奥には鞍馬流総本山があるっちゅう話がな…」
「あ~…紗季ちゃん?それはあくまでも噂だからね?でも私の生まれは確かにそこら辺だねぇ。」
「親父と母は駈け落ちして家出同然らしい。少々気まずいんだろう。」

頼子が言うと加代は瞳を輝かせた。

「まぁっ!何てロマンチックなんでしょう!頼良様のお歳から察しますと随分お若い時だったのですね!」
「頼子は兎も角、頼良さんは知り合いに出会してまう可能性もある訳やなぁ…」
「私は後継ぎだったのに家を飛び出してしまったからねぇ。それにその頃の仲間がまた少々厄介でね…」

頼良が憂い顔で言うと

「暴走族何ぞやって、京都ではトップだったらしいぞ。解散するきっかけが母との出会いだったらしい。」

頼子が補足する。

「何時もの様に峠を走っていたら、道を塞ぐ様に当時のレディーストップだった彼女が待ち構えていてね…」

頼良は懐かしそうに当時の事を語り始めた。



「アンタが最京連合の頭なんかい?」

最前列で口火を切ったのがレディーストップらしい。
頼良がバイクを降りてメットを外すと、彼女は臆する事なく頼良を睨み付けた。

「ウチは京女連合の頭や。ウチと勝負せぇや。勝ったらアンタのチームの下に付いたるわ。」
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