雨女、時として晴れ男。
「…」
「…」
「…ていうか」
「…」
「誰?」
お前が誰だよ
「…北見。」
「きたみ、くん?」
ぶつぶつと何やら
口の中で俺の名前を転がすように繰り返している。
「…」
「下の名前は?」
聞いてどうすんだよ
「………時雨。」
「シグレ?」
「…」
絶対今、カタカナで変換されてるだろ。
口数の少ない俺に
少し急いで歩調を合わせ
ついて来るこいつ。
なんか
犬みてえ。
「あ」
「…」
「…」
「…んだよ」
「あたし!高矢 照美。」
目を合わせてにこっと笑う。
たかや、てるみ。
……………こいつ、
やっぱ 猫みてえだ。