雨女、時として晴れ男。
「タカヤテルミっている?」
不意に
自分の名前が聞こえた。
ドアの方を振り返ると
「あ」
クラスメイトの男子に
声をかけているのは
昨日の北見くん、だった。
あ、やっぱモテるんだ。
クラスの女子の視線が集まっているのがわかる。
ていうか
え 何この空気。
「高矢?いるよ」
あいつ、と
クラスメイトが指差した先の私は
がっつり北見くんと目が合う。
あ いた、と
北見くんが軽く手招きをした。
…え、あたし?
…
すっごい面倒臭そうな顔で
早く来い、と言われた気がする。
驚いた表情の澪の方を一瞬見てから
席を立った。
視線が集まっているのが
痛いほどわかる。