頭のてっぺん
下を向いて歩いていると、前から来た人にぶつかってしまった。

「あ、すいません!」

下を向いたままペコペコと頭を下げる。

「いえ、大丈夫ですか?」

…あれ?なんか聞き覚えのある声…

顔を上げると大学時代の彼。匠海だった。

「カナじゃん」

ヘラヘラと匠海は 笑いながら 私を見た。
「匠海…久しぶり」

なんだか 余計に気分が沈む。

匠海には 二股をかけられて 挙句に捨てられたのだ。

「じゃ…」

ペコリと頭を下げ、通り過ぎようと…

「なあ」

ぐいっと 腕を掴まれた。
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