王子様とビジネス乙女!
迷惑な学園生活
私の名前はカドリ・ベカルマン。
弱小貴族ベカルマン男爵家の地味娘だ。
自分で言うのも何だが、私はわりと品行方正な若者だと思う。
学園では学問に励んでいて成績がいいし、他の令嬢達と違い派手なところが一つもない私は生活指導の先生のお気に入りだ。
放課後は自ら営む販売業や貿易業がらみの労働に精を出している。
いつだって私は真面目だ。
だから先々月に素晴らしいビジネスアイデアを思いついた時も、私は真面目に実行した。
今回のビジネスに一役買ってくれたのは、我が学園の麗しの王子様。
レナール皇太子陛下は今年で18歳になる若き王位継承者だ。
その優雅な物腰と甘いマスクは令嬢達を虜にしてやまない。
きっかけはたまたま王子様を盗撮する生徒を見かけたことだった。
夢見るような表情でシャッターを切る彼女の姿に、私の中の天使が囁いたのだ。
これは金になる。
王子様は金になる、と。
私はすぐさまアイデアを実行に移した。
マーケティングのためのアンケートを実施し、カメラマンを手配し、売人を手配した。
素性を隠したままそれらをこなすのは面倒だったが、努力した。
身バレを避けるためには仕方がない。
結果は大成功。
美形の王子様は思った以上に大人気、写真は飛ぶように売れた。
この結果は私をかなり興奮させた。
レナール王子様々である。
新しいビジネスは順調、このまま盗撮写真集の企画に入ろうかという時に――
突然学園長室に呼び出されたのである。