I am … 【完】



それから何分も経たないで車椅子に乗せられて真向かいの処置室に連れていかれた。



恐る恐る起き上がると下半身から漏れ出す液体…


もうそれ程量はなくて、床には数滴落ちた程度。



大府先生は手術中なので、駆けつけてくれたのは背の高い女性の先生だった。



看護師さんに肩を借りながら内診台へ…



不思議なほど痛みはないのだが、状況が状況なだけに体を少し動かすだけでも精神的にきつい。



それが終わると、ベッドに寝転がってお腹にエコーを当てる。



映し出されたのは私の赤ちゃん…



「これが、赤ちゃんの心臓…」



力なく画面に目をやった…



「心臓は元気に動いてますよ」


感情のない冷めた声に動揺しながら目を凝らす…


確かに…



ピクピク動く小さな命の証…



でも…



そこには、素人目に見ても明らかに、あるはずの物がない…





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