I am … 【完】
もう一つ私に訪れた小さな幸せ。
それは、ようやく母子手帳を貰ってくるようにと医師から言われたことだった。
MRIの検査を前にして市役所に母子手帳を貰いに行く。
渡されたのは、優樹の時と同じ表紙の母子手帳と何冊かの冊子、そしてマタニティーマークのキーホルダーだった。
私はそれをすぐに開封してバッグに付けた。
”お腹に赤ちゃんがいます”
そう書かれたキーホルダー
まだ外見では分からなくても、周りの人に妊婦であることを知らせるものだ。
まあ、私の場合違う意味でお腹が出てるから周りから見ればマークなんて無くても妊婦に見えるだろうけど…
それでもやっぱり、これをゲットしたことは私にとってはとても嬉しいことだった。
私、妊婦さんなんだ。
そりゃあ、病気もあるけどね…妊婦さんなんだよね…
そう実感することができる。
その反面…実は、少しの後ろめたさも感じてはいたけど…
それは…最悪の場合の事…。
マタニティーマークを外す時…
私は笑っているだろうか…?
答えは誰にも解らない…
先生だって、何も明確なことは言ってはくれないし、自分自身これからどうなるかなんて…思い描くことが出来なかった…。