I am … 【完】




しばらくすると麻酔科の先生がやってきた



今日の一番重要な予定だ。



通常、妊娠中の手術は胎児への影響を軽くするために半身麻酔で行うらしい。



大府先生からその事は聞いていたので、物凄く嫌だけど、赤ちゃんの為にはなんとか乗り越えなきゃと観念していた。



「麻酔科の飯塚です。よろしくね」



部屋を訪ねていたのはまたもや予想外に若い女性の先生



大府先生とは違って物腰の柔らかい優しそうな方だ。



大学病院って若い先生多いんだな…



多分新ちゃんも同じように思ったんだろう、目で何となく会話していると先生は他から持ってきた椅子に座って説明をはじめる。



「まず、麻酔の種類なんですけど、吾妻さんの場合は迷ったんだけど全身麻酔にしようと思います」



「え?全身麻酔…ですか?」



思わず拍子抜けした声を上げる



半身麻酔になるのを覚悟していたから…



「妊娠中は確かに半身麻酔の方が多いんだけどね」



半身麻酔とは名の通り、下半身だけ麻酔を効かせて意識のある中で手術を行うのだ



若い頃盲腸の手術をした母に聞いたら、痛くはないけど内臓を引っ張られてる感じはするらしく、気の弱い私にはかなりの不安要素だったけど…



どうやら私の場合は傷がかなり上までくる予定なので、万が一麻酔が効ききれずに痛みがあると手術にも支障があるとのことで妊娠中でも問題のない麻酔薬での全身麻酔選択したらしい。







< 64 / 208 >

この作品をシェア

pagetop