キモチの欠片

「いいよ。遥ちゃんの空いてる日をまた教えてね。あ、柚音ちゃんもどう……って彼氏に悪いから誘わない方がいいのかな？」


クスクスと笑い首を傾げる。

あぁーっ！
余計なことを言わないでください。
ホラ、遥がすっごい目をしてあたしを見てるし。

「や、やだなぁ、原田さん。あたしに彼氏なんていませんよ」


ヒクヒクと顔を引きつらせてしまうのは仕方のないことだと思う。

「えっ、でも居酒屋で羽山くんと」

「うぁーっ、なに言ってるんですか。誤解ですよ、違いますから。あれは不慮の事故というか不意打ちで……」


強引に話を遮って喚いてしまい、上手いこと誤魔化せなくて自分のバカさ加減にウンザリする。

「うーん、そっか。じゃあ、あれは俺の見間違いかもしれないね」

原田さんはニッコリ笑う。

これは大人の対応をしてくれたってことなんだろう。
ていうか原田さんはあの時、忘れるって言ってなかったっけ？