キモチの欠片
「いいんですか?今日は予定がないし、そんな風に誘われたら遠慮なく行っちゃいますよ」
出た、肉食女子。
遥が目を輝かせ食いついた。
あんたは男なら誰でもいいのか?と言いたくなった。
あたしは行きたくないんだけどなぁ。
「うん、君たちがよければイタリアンでも、なんでも好きなものを食べに行こう」
「ホントですか?」
「遥、それは図々しいよ。遠藤さんにも悪いし……」
あたしが渋ると遠藤さんは不安げな表情を見せた。
「俺が柚音ちゃんたちと食事に行きたいんだけど駄目かな?」
「ダメじゃないですよ。ねぇ、柚音」
遥があたしの腕を掴み耳元で囁いた。
「そこまで言ってくれてるし、ここで断るのも可哀想だよ。遠藤さん、柚音を誘おうと勇気を出したんじゃない?」
そう言われて乗り気はしなかったけど遥に流されてしまい、承諾した。
遠藤さんはあたしの返事にホッとした様子でふぅと息を吐いた。