キモチの欠片

「おっ、柚音ちゃんも思い出したみたいだね。響也くんや梨音ちゃんと遊園地に行ったりしたよね」

そうだ!
うちのお姉ちゃんとまーくんは同い年でよく遊んでいた。
あたしも仲間にいれてもらおうと必死に後をついていってた気がする。

わぁ、懐かしい。

「もしかして二人は付き合ったりは、」

「してないから」

「なんだ、つまんない。花音チャンの娘と私たちの息子が結婚したら花音チャンと親戚になれたのに」


原田さんのお母さんは残念そうに言う。


「俺は構わないけど柚音ちゃんには彼氏がいるから」

ねぇ、と茶目っ気たっぷりな顔してあたしに振ってくる。
えぇー、ここでそれを言う?

あぁ……パパからの視線が痛い。


原田さんてこんな人だっけ?
あたしの原田さんに対する“いい人脳内ランキング”ががた落ちだよ。

「あらっ、柚音チャン彼氏がいたのね。花音チャンは知ってたの?」

パパに抱きかかえられてるママに話しかける。
これ以上余計なことを言うのはヤメテクダサイ。

恐る恐る振り向くとそれはもう、すごい形相のパパがいた。
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