キモチの欠片
原田さんも応援するってなんなの?
別にあたしの恋の行方なんか気にしてくれなくてもいいのに。
そんなことを考えていると、葵の視線を感じた。
「ゆず、なんで原田さんがお前のオヤジのこと知ってんだ?しかも、昔よく遊んでたってどういうこと?」
ギロリと睨まれる。
なんでそんな怖い顔すんのよ。
「うちのパパとママが原田さんの両親と仲がよくて、あたしが小さい頃に一緒に遊んだことがあるの。この前、たまたま実家に行った時に原田さんたち家族と会ったから」
ややこしい話は省略して説明した。
葵絡みの話をしたなんて言えないし。
「ふぅん」
葵はそっけない返事をした後、なにかを思い出したようにあっ、と口を開いた。
「ゆず、遠藤さんと晩飯を食いに行ったらしいな」
不機嫌極まりない顔になる。
「な、んで知ってんの」
まさか葵の耳に入ってるとは思わなかった。
それと同時に、二人きりで食事に行こうと誘われた返事をしなければいけないことを思い出した。