キモチの欠片
求めるキモチ

次の日、体調を崩して会社を休んだ。

久々に熱を出してしまった。

季節の変わり目で身体がついていかなかったのかな。
もしかしたら、最近は寝不足だったし、いろいろ考える事があったから知恵熱が出たんだろうか、なんて思ってみたり。


はぁ、ダルイ……。


冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出した。
救急箱から風邪薬を出し、それを飲んでからベッドにもぐり眠りについた。





――…ピンポーン、


ゆっくり目を開けるとインターホンの音が鳴っていた。


身体を起こし時計を見ると十七時過ぎか……ってあたしったらどんだけ寝たのよ。


こんな時間に誰だろう。新聞の勧誘か宅配とかかな?


パジャマの上にカーディガンを羽織り寝室から出てモニターを見る。


「あ、葵っ……」



どうして葵が?驚きながらも玄関のドアを開けた。


「よう。ゆず、体調はどうだ?つか、部屋に入ってもいいか?荷物が重てぇんだよ」



そう言ってガサガサと買い物袋を持ち上げて見せる。

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