キモチの欠片
「なにすんのって、ゆずを呼んだだけ」
「呼んだだけって、違うでしょ。急に引っ張らないでよ」
真っ赤な顔をして文句を言って身体を起こそうとしてるのを阻止し、位置を反転させた。
「なっ、」
パチパチと瞬きしながら自分の身になにが起こったんだというような表情のゆずの唇にキスを落とす。
「……んっ、」
柔らかな唇の感触を確かめるように何度も角度を変え味わっていく。
その度にゆずの口から漏れる甘い声に理性が追いやられていく。
つうか、ゆずが寝室に入ってきた時点でそんなのは雀の涙程度だったけど。
唇を割り舌を口内に滑り込ませ、深いキスをする。
息苦しいのか俺のシャツの胸元をぎゅっと握ってきた。
それに気付き、ゆっくり唇を離すと息を乱し艶っぽく潤んだゆずの瞳と交わる。
そんな目で見るなよ。
気持ちが押さえられなくて暴走してしまいそうになる気持ちを落ち着けようと深呼吸する。
本気で好きになった女……柚音を前にして緊張している自分がいる。
壊れ物を扱うように、優しく丁寧にゆずの身体に手を這わせ始めた。