キモチの欠片

今更ながら後先考えずに行動してしまった事を後悔した。アホ過ぎる。

何も言わないあたしの顔を見た朔ちゃんは鼻で笑い呆れた声を出した。


「柚音、ホントお前はバカだな。目の前のことしか見えてないからこういう結果になるんだよ」


バカと言われるのは今日何度目だろう。もう慣れたけど。


「分かってるよ。今、思いっきり反省してるところなんだから」


うぅ、と唸り、項垂れるようにまたカウンターに突っ伏し盛大にため息を吐く。
本当になにをしてるんだろう。情けなくて涙が出そうになる。


「柚音、ため息の数だけ幸せが逃げてくぞ」


そう言いながら朔ちゃんの長い指があたしの髪を優しく撫でる。


「ん、分かってるよ」


こうして髪を撫でられるのは心地いい。そのまま眠ってしまいたくなる。


突然、ムーディーなジャズが流れる店内に少し場違いな有名ロックバンドの着うたが聞こえ、あたしの携帯の着信を知らせた。

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