キモチの欠片
あたしだけ男関係で醜態さらしてなんか悔しい。
葵の女関係も聞いてみたい衝動に駆られた。
「じゃあ、葵はどうだって言うのよ。彼女いるんでしょ」
グイッと葵の胸を手で押して距離をとる。
どんな顔をして喋るのか見たくなった。
「いねぇよ」
サラリと顔色一つ変えない。
っていうか、予想外の葵の答えにビックリ。
「え、あたしの聞き間違い?彼女、いないの?」
「だからいないって言ってんだろ」
彼女がいないってあり得ない。
この顔はどう贔屓目に見てもモテるでしょ。
「うっそだー。いない訳ないじゃん」
隠さなくてもいいのに、なんて思ってると葵は片眉をピクリと動かす。
「彼女なんて今までいたことねぇよ」
ため息混じりに不貞腐れた顔をしてとんでもない言葉を口にした。