キモチの欠片
交錯するキモチ
「おはようございます。山口商事の里中です。営業の徳山部長と十時にアポイントをとっているんですが」
「山口商事の里中様ですね。少々お待ちください」
あたしの隣で香苗先輩が対応してる。
内線で徳山部長を呼び出しているみたいだけど、会話の内容から徳山部長は電話中みたいだ。
「柚音、悪いんだけど里中様をあそこの椅子に案内してくれる?」
香苗先輩が囁き、分かりましたと頷き立ち上がる。
ロビーに備え付けてある来客者用の椅子へと案内する。
「里中様、こちらでお待ちいただけますか?徳山ももうすぐ降りて参りますので」
「分かりました。ありがとう」
「それでは、失礼します」
お辞儀をして、受付に戻っているとエレベーターから徳山部長が降りてきた。
「徳山部長、里中様はあちらにいらっしゃいます」
「了解、ありがとう」
すれ違いざまに言葉を発し、軽く会釈し受付へと足を進めた。