キモチの欠片
「えっ、原田さんてあの営業の爽やかジャニーズフェイスの?」
「そう。広報部のお姉様のネットワークを駆使して会社のいい男を集めてくれたの。今回は営業と開発の人たちなんだ」
遥は目を輝かせながら言う。
そうは言ってもなぁ……。
同じ会社の人たちでしょ。
万が一、無愛想な態度をとってしまったらイメージダウンになるし。
一応、受付をしている訳だから、いろいろ気を遣っているんだよね。
「絶対に柚音を説得するようにお姉様たちに言われてるの。今度ご飯奢るから。この通り、お願いします。柚音様」
遥はパチンと手を合わせ拝むポーズをする。
あまりの必死さに根負けした。
「はぁ……仕方ない、いいよ。でも今回だけだよ。次はないからね」
「ありがとー。柚音大好き」
ギューッとあたしを抱き締めてくる。
憂鬱だけど他でもない遥の為だ。
また仕事終わりにメールすることを約束して食堂をあとにした。