お迎えに
「どこ行くんや?」

「もちろん、人間界ですよ。自分で言ったことぐらい覚えといてください。」

「ホヅミ!」

感動した面持ちのヒュウガが涙ぐむ。

「嘘泣きは止めて、さっさと仕事して下さい。仕事たまってるんでしょう?」

ホヅミはピシャリと言って扉を開けようとした。

「ナツキは、この死神界での異端児や。記憶の無い死神なんや聞いたことあらへん。」

ヒュウガの先程までの態度が一変し、真面目な顔で言った。

「それは……。」

「そうや。死神としての存在がまだ確立されてない。」

ヒュウガが椅子に座りながら、ホヅミを見る。

ホヅミの口は苦々しくゆがんだ。

「長は、ナツキはまだ人間界で生きてると?」

「そうや。死神界で存在が確立してないのなら、人間界でまだ生きてると考えるのが妥当や。」

「しかし!死神になる者は必ず死んだものがなると…」

「ナツキは死んでいるんやない。生きてる。だが、死にそうなんや。」

ホヅミは顔を歪めた。

「まさか。そんな…。」

「自分もまさかと思うんや。だから、ナツキを人間界に行かせたいんや。」

ヒュウガがこれほどまでにないほど、顔をしかめていた。



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