あたしたち別れましょ。
「で、何が言いたいの?」
「正樹さんとヨリを戻す気はないの?」
「…ないわ」
「こういうことは2人の問題だし出しゃばるのも良くないことは分かってるつもり。
でも俺は姉ちゃんはやっぱり正樹さんじゃないとだめだと思う」
「……なんで?」
「正樹さんと9年も付き合ってんだぞ?
これから彼氏ができても正樹さんと絶対比べるはずだ」
「…そんなこと分からないじゃない。
それも比べたとしても、正樹の方が悪い方かもしれないじゃない」
そう言いつつ心の中では正樹を悪く言う自分が想像できない。
この人は正樹と違ってとても優しいわ
この人は正樹と違ってとてもおもしろいわ
この人は正樹と違ってとても思いやりのある人だわ
そんなこと言ってる未来の自分が想像つかない。
「姉ちゃん、正樹さんとちゃんと話し合えよ」
「…」
「9年間をあんな1日で終わらせて良かったのかよ」
「…ビールもらうね」
いつの間にかビールはなくなっていて2本目をもらう。